馬の乗り方や接し方には主に3つの方法があります。
ひとつは馬の精神性は重視せず、馬の身体を支配して生体反応で動かす方法。
ふたつめは馬に精神性があることは知っているが、強制したり懲戒したりして服従で動かす方法。
みっつめは馬の精神性を尊重して、学習させたり納得させたりして自立した個として理性で動いてもらう方法です。
コミュニケーションライディングは、みっつめの馬を尊重する方法をとっています。
馬とコミュニケーションしながら、馬と対等なパートナーになるための騎乗方法や馬との接し方を行います。
この方法はブリティッシュライディングとナチュラルホースマンシップの融合、そしてたくさんの試行錯誤の経験から生まれました。
コミュニケーションライディングを知って馬の気持ちがわかる人や嫌がることをされない馬が少しでも増えたら嬉しいです。
私はこれまで長年馬に乗り馬とふれあってきて、いろんな経験をしながら自己流で騎乗方法や馬語を身につけてきました。
馬が私の先生です。今まで付き合ってきたたくさんの馬達に教えてもらいました。
コミュニケーションライディングは多くの馬達を育て調教してきたなかで役立ってきたシンプルで実践的な方法です。
私はブリティッシュライダーでトレーナーですが、あるとき乗馬雑誌でウェスタンの記事を読んでびっくりしました。
「わっ!こんなところに俺とおんなじことをしている人がいる!」
そしてまたあるときナチュラルホースマンシップの記事を読んで、ふたたびびっくりしました。
「わっ!また同じこと考えて同じことしている人がいる!」
それまで出る杭として打たれながら異端児扱いされていた私は、同志の存在にとても驚き、勇気をもらいました。
今まで自分が試行錯誤してきて身につけたやり方は、実はナチュラルホースマンシップと呼ばれるもので、世界でも同じように考えている人がいることを知りました。
それからブリティッシュライディングとともにナチュラルホースマンシップをさらに勉強して、実践して、たくさん失敗もして、馬とのより良いつきあい方を深く学んできました。
私はどこか海外に留学して学んできたわけではありません。ただ何百頭もの馬達とつきあって、毎日悩みながら馬に向き合って、試行錯誤しながら理想を追求してきただけです。
しかし自分で経験してきて自分で編み出したからこそ、自分の言葉で語ることができます。
自己流、独学、オリジナルなのでもちろん本場のナチュラルホースマンシップとは違います。それにナチュラルホースマンシップにもいろんな流派があって考え方も様々のようですよ。実際に馬を追い詰めたり馬にきついことをするナチュラルホースマンシップもたくさんあるようです。
それよりも私は馬の身になって考え、馬に思いやりを持ち、コミュニケーションをメインにした騎乗方法や触れ合いをするのが好きです。結局のところ馬とコミュニケーションすることや馬が喜んでくれることをするのが一番好きなのです。あとブリティッシュもね。
「コミュニケーションライディング」
優しい響きでウィッシュホースコミュニケーションズにぴったりだと思います。
馬達も「話を聞いてもらえるんだ~」ってきっと気に入ってもらえることでしょう。
私はこのやり方が好きです。
どうぞよろしくお願いします。
コミュニケーションライディングはシンプルな方法です。
チャットのように馬と会話をやり取りしながら物事を進めます。
そして多くの馬に通用するやり方です。
ナチュラルホースマンシップは馬との会話が人間側から始まることが多いですが、コミュニケーションライディングは馬側から始まることが多いです。(まず聞く)
ナチュラルホースマンシップでは時に非常に強いプレッシャーをかけることがありますが、コミュニケーションライディングではそれよりも丁寧な学習のチャンスを使います。
馬の乗り方や接し方は、クラブによって、指導者によって、ライダーによって全然違うものです。それぞれ理想とする乗馬や馬との付き合い方を、それぞれ目指していければいいんじゃないでしょうか。
ただ馬を見れば馬がどのように扱われているかわかるもの。
どうかコミュニケーションライディングを知って今自分のしている乗馬を見直すきっかけにしてくれる人が増えますように。
そしてコミュニケーションライディングが人と馬の橋渡しとなりますように。
「馬の話は目で聞く。」
コミュニケーションライディングではよくこうお伝えしています。
・自分を使いこなしましょう!
馬をコントロールするのではなく、自分をコントロールするのです。自分の身体を。すみずみまで。自分の感情を。自分の考え方を。そうすれば馬はきっとあなたの気持ちに応えてくれます。
・穏やかでゆっくりとした会話をしましょう。
相手の発言を最後まで受け取ってから、よく考えて発言しましょう。決まりきったリアクションや反射的なリアクションは無益です。相手の真意はどこにあるのか、目を見て微笑みながらしっかり耳を傾けましょう。自分がゼロやニュートラルになって話を聞きましょう。思い込みは捨てましょう。隠し事や誤魔化しはやめましょう。話を聞き終わったら、よく考えてからその話を受けた答えを返しましょう。普段から「受け答え」の練習をしましょう。あなたはいくらでも思慮深くなることができます!
・ポジティブで建設的な態度をとりましょう。
自分の行動や言葉は自分で選ぶことができます。「できません」「難しいですね」「ついやっちゃうんですよね」という言葉を自分に許す必要はありません。言葉や思考は現実になります。現実化してほしいポジティブな行動や言葉を発した方が建設的です。馬は日本語を知りませんが話を聞かない傲慢さや自立していない弱さを聞き逃しません。気持ちを楽にしてポジティブな言葉や態度をとりましょう。
私達が築きたいのは、馬も人も楽しいWIN-WINな関係です。
良い乗馬は馬に受け入れられて初めて成り立ちます。
私達が目指すのは馬が喜んで受け入れるホワイトなやり方です。
しかし残念ながら昔からある古い乗馬のように馬に嫌がられても押し通すブラックなやり方もいまだに多くあります。
コミュニケーションライディングのように馬を大切にして謙虚に馬に受け入れてもらうやり方は、より安全で、労力も少なく、お互いが温かい気持ちになれるやり方です。
あなたが馬に受け入れてもらって、信頼してもらう乗馬が自然に出来るようになったとき、馬は驚くほどの賢さと、感動するような能力を感じさせてくれるでしょう!
コミュニケーションライディングを知ることが愛馬精神の実践につながればとても嬉しいです。
そして馬に好かれてみてください。
馬が好きなのはニンジンじゃなくて、一貫性、自制心、自律心ですよ(^^)