新馬を調教するとき、どのように馬と接してどのように信頼関係を築けばいいのでしょうか。
今回新たに入厩したチョコパ君の場合をご紹介します。
チョコパ君は中間種の乗用馬、1歳の男の子です。ちょうど生後一年で、まだ何も知らずにやってきました。
今回は具体的で詳細な解説をしていきます。
チョコパ君の成長と変化をどうぞご覧ください。
ウィッシュホースコミュニケーションズではこのような新馬調教も、サラブレッドの再調教も、さらに高度な調教も、馬の気持ちとウェルフェアを大切にした調教方法で行っています。
これから新馬を調教するとき、引退した元競走馬を乗馬に再調教するとき、この新馬調教方法が参考になれば幸いです。
4月29日
入厩。
到着直後、連れてくる途中で水にびっくりして動かなくなった。
こういう時は引っ張らない。馬になったつもりでお手本を見せてあげましょう。
勇気を出して真似してまたぐことができた。えらい。
ひとまず馬房へ。
その後リーディング(引馬)の様子を見る。
人間のことを見ていなくて、どんどん先に行ってしまったり勝手な方向へ行ってしまったり。
調教されていない馬だと当たり前だよね。
馬場に入りほんの少し調馬索でグランドワーク。
興奮して遠くへ走って行ってしまったり、人に向かって中央へ突っ込んできたり。人間のことは全く目に入ってなくて、いななきながらでたらめに暴走していた。様子を見るだけなのですぐに終了。これから少しずつ覚えていこうね。
洗い場につないでみる。
緊張感ありありでせわしなく動き回る。
みんなみたいにじっとしているってだけでもすごいことなんですよ。
健康をチェック。
乗馬は健康が命。
馬作りは健康作り。
体調やケガ、ボディーコンディションスコアなどはどうかな?
ほんの少しだけ優しくブラシかけをして、身体各部の感受性の様子を見る。
敬意を払ったゆっくりした動きであれば眉間を撫でることが可能。
触ってもいいと言ってくれるところ:鼻、口、首上部、肩、背中前部。
触って欲しくないと言うところ:目より上、前肢、前肢の間、わき腹、お尻、後肢。
触れるのと、触ることを心から許しているのはちょっと違うので思い込みで接しないこと。
夜中に隣の馬とふんふん。
まず馬の身体をよく観察して、より健康になるようにしましょう。
乗馬の土台は馬の健康。
まずは馬が人を楽に乗せて走れる筋肉量、気持ちよく乗せられる傷のない身体を作りましょう。
それから馬の話をよく聞いて、メンタルを整えましょう。
メンタルが落ち着きリラックスすれば、理性と思考回路が働き始めます。そうしたら一歩一歩信頼関係を築くことができます。
4月30日
二日目。
エサもちょっとしか食べない。ボロもちょっとしかしない。おしっこもちょっとしかしない。
こういう周りをよく見ている馬は賢いタイプであることが多いです。よく観察しているからこそ緊張している。彼に全幅の信頼をしてもらえれば打てば響くような良い馬になります。
今つけている無口を外す前に、もう一つの無口で、無口のつけ外しをしてもいいか確認&許可をもらう。
無口を外したはいいものの、逃げ回ってつけられなかったら大変ですからね。
耳を触られるのをものすごく嫌がる。
頭の上を無口や手が通過するだけでも非常に嫌がる。
時間をかけてゆっくり繰り返し、痛いことはしない、理不尽なことはしないという約束をした。触られても大丈夫だということを理解してもらってOK。素の馬とはこういうものでこれが普通です。
そのうちみんなのように無口を差し出せば頭を突っ込んでくるようになるでしょう。
馬は記憶力がいいので、辛い思いや理不尽な扱いを受けるとずっと引きずってしまいます。
馬は毎日人間とのかかわりの中で、愛情深く育つことが大切ですね。
今日も昨日と同じく、馬場で大暴走。
洗い場でもバンバン立ち上がっていました。
ただしっかり覚えていてほしいのですが、これは暴れたり抵抗しているのではなくて、不安や緊張からくる行動だということです。
こういう時は叱りつけるのではなく、どうしたら安心するのか、どう接したらいいのか、親身になって考えましょう。
調馬索でグランドワーク。
今日は左右両手前。
特に右左の癖はない。良かった。
前半は昨日と同様コミュニケーションが成り立たず、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、止まって動かなくなったり。
中盤にかけて、2秒くらいこっちを見るようになる。
終盤、どうやら何か言ってるらしいぞと思ったらしく一定のリズムで回るようになり、受容のサインを何回か見せるようになる。
これですね。
すかさず終了。
気持ちを込めて触ることのできるところを優しく撫でてよくねぎらう。えらかったよ。
顔のお手入れ。
やはり上半分、特に耳周辺が触ってほしくない。
難しいけど、でもアプローチによってはそっと触れなくはない。
馬にはいつも穏やかに説得するように接します。
賢さと理性の片鱗を見せ始める。
こういう時がとても嬉しくて、感動する。
手入れ丸洗い。
お湯をかけたらビビりまくり。
穏やかに淡々と理解を得る。受け入れてもらえるよう許可を得ながら進めていき、最後には顔を洗えるようにまでなった。すごい。
お腹一面にこびりついた毛玉を取り除いた。
納得するよう丁寧に説得しながら行った。必要なことであれば、大丈夫そうな様子を確認しつつ、微笑みながら穏やかに進めることもあります。何事も馬と相談。
皮膚ごと引っ張られるので最初は嫌がっていたが、そのうちそれほどでもないと思ったのか態度軟化。こういうのが賢い証拠。つまりだんだんもっと嫌なことになる未来を予想していたということ。でも同じリズム強さを繰り返すことで、そうならない現状を理解したんです。
後半にはこっちを見ながら静かに受け入れてくれた。
写真、そりゃあ文句も言いたくなるよね。ごめんね、ありがとう。そのうちこっちの方がいいことに気がつくといいな。
行き帰りのリーディングで次第に歩調を合わせるようになってきた。理解が早い。
みんなと一緒に落ち着いてご飯。
他の馬もみんな、最初来たときはこんな風だったんだよな。そう思うととても感慨深いです。
5月1日
三日目。
リーディングの練習。時々人の様子を見ながら歩くようになった。
前に出ないように気を付けている時もある。
賢い。
常に馬の目を見て、話を聞いてるよという態度で接します。
顔へのブラシかけを受け入れるようになった。
耳へのタッチは正面からだと比較的許容するが、側面からだと難しい。
常に様子をよく観察しながら、ゆっくりアプローチすることが大切です。
耳の根元は指でくすぐるように優しくもむだけにとどめた。
身体へのブラシかけ。昨日は肘までだったが、今日は膝まで受け入れた。後ろは昨日は尻尾まで、今日は飛節まで。可愛い。いい馬。
初の放牧。
一頭でパドックへ。
まずはお見合いから。
何かあった時にすぐ対応できるように無口はつけたままにした。
出来るだけ、こうなったらどうするとか予測を欠かさず、馬の行動を先回りしましょう。
用意周到に準備しておけばちょっと安心です。
PMグランドワーク。
昨日よりは早く落ち着いた速歩に移行できたが、ときどきどひゃっと速くなる。
最初よりはだいぶ円に近くなってきた。自主的に丸く走るよう教えます。
一瞬、等距離でいた方がいいのかなと気が付いた時があった。
はじめてのトップラインの伸展。お~、いいね。
丸洗い。
今日はたてがみシャンプー。泡が流れるのには驚かなかった。
首の上部、耳近くになると途端に不安になる。
前から行っても同様で、頬と鼻梁は大丈夫になったがおでこになると挙動不審に。
お腹は大丈夫になってきた。内股がとても苦手で今はまだ全然触れない。
馬房でフリーにしてのコミュニケーション。リバティーワーク。
馬と仲良くなりたかったら、馬を拘束しないこと。
少しの虚勢と不信。時々上へ逃げる習慣がある。すらっとしているから覚えたことだろう。そういう馬には下から手を出さないようによくよく気をつけましょう。
時々こちらを認識して、きちんと目を見て話してくるようになった。写真のように。すごい進歩だ。
5月2日
AM放牧。そしてブラシかけなどのお手入れフレンドリー。
たっぷりのエサとリラックスタイムで少し元気と自我が出てきたみたい。
賢くて良く反応するタイプ。
私のことをよく見るようになった。
リーディングでは半分くらいは歩調を合わせたほうがいいのかなと分かってきた感じ。ストップも時々できるようになってきた。
ブラシかけは身を固くしているがじっとしているようになってきた。
昼間気を許してのびのびと寝ている姿をはじめて見せてくれた。
ぽてっと子供っぽい様子が微笑ましい。少しずつ気持ちがほぐれてきているのが嬉しい。
PM グランドワーク。
馬場の入り口まで来たら、猛烈な勢いで走って馬場へ飛び込んだ。
賢い馬はもうやることがわかっていると、やればいいんだろ!というように向かっていくことがあります。(障害に突っ込んで行く馬など)
プレッシャーを感じているサインなので、こういう時は緊張しなくていいんだよとプレッシャーレベルが下がるようなやり方に変えて穏やかに丁寧に説得しましょう。
「信じたい、でも信じていいの?」
運動では、前半のどひゃっから、リズムの良い速歩になる時間が昨日より短かった。
自分からはっきりと外へ行くのをやめて、私と等距離を保とうとした時が2回あった。素晴らしい。
馬に考える余地と選択肢を与えましょう。
メンバーさんたちに顔を撫でてもらうのを試してもらった。みんな上手。さすがです。可愛いですね。
手入れではだんだん(1㎝ずつくらい)耳に近づいていけるようになっている。
顔のブラシかけは7割くらいの時間は大丈夫。いいよ。
丸洗いはやはり苦手だが後半はましになってきた。股間はまだまだ。
夜、馬房で夕飼いを食べさせながら、話しかけながらブラシかけ。
動かないで受け入れてくれるようになった。でも飼いを食べるのをやめてじっとしているのでまだ緊張してるよね。
首を触るとちょっと弾力があるのは緊張しているサイン。早くふにゅふにゅリラックスになりますように。
5月3日
AMお手入れなどのボディーマッサージ。
手が頭の上を通過しても大丈夫になってきている。両腕で作った輪の中を頭をくぐらることができるようになった。
ブラシは前肢は球節まで、後肢は管までタッチすることができた。
学習してるね。馬は理性あるものとして扱いましょう。
放牧。少し慣れてきたのか他の馬にしつこくされると言い返すようになった。
他の馬との付き合い方はわりと上手なようだ。
昼飼い。飼いをよく食べるようになってきた。
粗飼料をふんだんに与えるようにしています。
PMリーディング。
きちんと人の後ろに控えるようになった。人が止まると8割くらいはきちんと止まった。かなりすごい。
今度は前へ出ないように気を遣いすぎているので、遅れるようになることも。その場合はリードロープを使い優しく前へ促しましょう。
どうしたら自分の言いたいことを馬が理解してくれるのか、いろいろ考えてみましょう。
調馬索でグランドワーク。
馬場へ入るときに一回だけ走っていきそうにした。
やり直して2,3歩ごとに止まりながら馬場へ入ると、きちんと理性で抑えておとなしくついて入った。
円運動ではすぐにいい速歩のリズムに。外に逸走しそうになったのは駈歩になったうちの3回だけ。これはまだ身体の使い方を知らないので仕方ない。素晴らしい賢さに感動。
ロープがピンと張りもせず、たるみもしないようになってきた。
自分がどうしたらいいか考えて、理解して、行動できるようになってきたかな?
馬が信じられる「一貫性」が大切だと思います。
お手入れ。
お水ごくごく、可愛い。
左耳は依然として逃避と不安を見せるのに、右耳の受け入れが急速に進んだ。
鼻や口はもう安心してタッチを受け入れる。
モカちゃんの時は逆に下半分が苦手だったんだよなぁと懐かしく思いました。
前肢を上げるようにそっと促すと成功。維持は別問題なので今はしない。
後肢は上げるが逃避の上げ方。多くの新馬同様、手のひらで包まれることはまだまだ受け入れられないようだ。包む速さ強さを間違えると蹴らせてしまうので慎重に。今のところその素振りはないけれど。(問題のある馬は、問題となる行動を起こさせた人間に原因があるだけ)
手入れ中あくびをしてくれた。こちらを見ながらのあくびで、気を許しきってはいないけれど気持ちよくて思わず、といった感じ。嬉しい。
最初のころとは、見違えるような表情。ありがとう。
5月4日
人のことを本当によく見るようになった。
話せばわかる、と思ってもらうことは重要なこと。
みんな表情が素晴らしいね!
「人は、話せば分かる」
そう思ってもらいたいですね。
馬のボディーランゲージを聞いて、返事をして、次の行動を決めてください。
馬が馬に教えるということは大きいと思います。
クラブの馬は一つの群れだから、それぞれ独自の雰囲気と傾向を持っていると思います。
私達でも、何年生の時のクラスはいいクラスだったなぁみたいなの、ありますよね。
楽しく挨拶してブラシかけ。
頭部の上半分、ここまでできるようになりました。
我慢もさせず諦めもさせず、理解と納得がポイントです。
前肢は蹄冠まで、内も外も手で触られるのOK。上げるのもOK。
上げたまま、1秒キープもできた。
コツは手のひらで掴んでいるのではなく指に乗せておくような感じにしておくことです。
後肢は球節まで手で触るのはOKになりました。
でも包むようにするのと上げてもらうのは、まだ納得していないらしく逃げ回る。
経験からいうと、これは噛みつかれた時や泥に埋まって身動き取れなくなった時に対する、本能的な反射(引き抜き)なんだと思います。
また、すでに嫌な経験をした馬や仔馬の性格によっては反射的に蹴ってくることもよくあります。
地道に説得。しかししつこくはしない。押し付けないから安心してね。
お鼻をすりすり。
たぶん今はまだ触られているとしか思っていませんが、これを可愛がられているな~嬉しいな~と思うように愛情をかけていきます。
みんなで気持ちいいことや、嬉しいという感情を教えていきましょう。
今はまだなんだかわからないだろうけど、触られるって気持ちのいいことなんだよ。
手でもブラシでも脚でもいつも、馬が気持ち良くなるように触るのが、コミュニケーションホースマンシップのポイントです。
しゅりしゅり。
PMグランドワーク。
今日は最初から落ち着いて馬場に入ることができた。
こういう耳や、頭部の傾き、首つきは馬が受け入れているとてもいいボディーランゲージです。覚えといてくださいね。そしてこうなるようにしてみてくださいね。
お昼すぎ、左手前グランドワーク。こちらを見ながらゆっくりリズムでスタートしてそのまま速歩していることができたのですぐ終わり。
騎乗や調馬索が上達するコツは、何分間しようとか、何時までに終わらそうとか最初から決めないことです。
夕方、右手前グランドワーク。日に日に円が丸くなってきた。リズムも崩れにくい。内方姿勢もとりやすい。トップラインの進展も時々ある。モグモグも見せる。少しリラックスしてきたのか、今日は緊張ボロをしなかった。
さぁそろそろ何か気がつき始めたかな?
もう少ししたら自信をつけていくフェーズになっていくと思います。
リーディング、9割がたOK。後ろからとことこついてくる。素晴らしい。
人をよく見るようになった。でもまだ意識して考え考え一生懸命やっている感じ。
そのうち自然に出来るだろう。
リーディング中、引き手が一度もピンと張らないような馬、引き手がついているけどまるでそれが無くてもいいような馬、人を信頼している理性的な馬を育てています。
全体を通して人をよく見るようになり、時々戸惑うような動きを見せるようになった。自分に選択権、拒否権があることに気がついたようだ。
馬には選択権を与えましょう。NoならNoでもいい。Yesと言って納得してくれた馬は、素晴らしく協力的で、あなたのために自分から行動する馬になりますよ。
人間に対して自分の思いのボディーランゲージを見せるようになってきたのは好ましいことです。それが馬と話す第一歩。
まず馬には、人にも馬語が通じるって知ってもらわなきゃ。
海外旅行に行って、当然まわりがみんな日本語わからないと思いこんでいたら話せる人がいた!みたいな。
5月6日
馬にとって放牧はとても大切です。
一日に1時間でいいからすべての馬に放牧を。
彼の中で人間に対する見方が変わってきたみたいです。
馬だけが自分の仲間と思っていたのが、人間も同類?と思ってきたみたい。
リーディングがほぼ完ぺきに出来るようになった。
歩いたらついてくる。止まったら止まる。ジグザグに歩いてもちゃんとついてくる。
バックしたらきちんとバックしてくれた。
顔を手で撫でてから、その手にロープをもってまた撫でる。
ぷらぷら、パタパタと顔に当たるのを受け入れることもできるようになりました。
丸洗いとたてがみシャンプー。
この耳(力が抜けてる)とこの目(ちょっと困ってる)とこの口の動き(ぺろもぐ)から訳すとこうなります。
「まいったなぁ。でも信用できるしまぁいいか」
お手入れも大切な調教で
す。
手入れは気持ちいいということを教えるようにします。
今日は初めてのゴムブラシ。ゴムブラシは引っ張られ感が強くて不快に受け取られやすいので信用ができるまでしなかったのです。
ぺろぺろ。大丈夫みたいですね。
リーディングが急速に出来るようになったことで、彼の中ではっきりと何かが変わったんだなぁと思いました。
引き馬はすべての基本。
そして、人間は気持ちいいことをしてくれるって知ってもらいましょう。
5月7日
放牧の時は事故防止のためいつも無口を外しているのが基本です。
チョコパ君も早く外して放牧したいのですが、飛び出したりとか想像を超えることをしでかす可能性がまだあるのでもう少し様子見です。
今日は初めて広い放牧場に。まずは穏やかなロイ君と一緒にします。
こういう時はいきなり多くの馬の中に放り込むのではなく、一頭ずつと一緒にしていきます。
ぴゅーん!
「えへへ」
私のところへ帰ってきて、甘えた表情のサインを見せてくれました。
人間への意識が変わるのは嬉しいですね。
もう馬場に入る時に、急に走り出したりしません。
でも油断しない。
馬体もきれいになってきましたね。
以前よりも体に力が入っていないのがわかるでしょうか。
乗馬で大切なのは、人も馬も体の力を抜いてリラックスすることです。
肩の力を抜かなきゃね。
こちらのボディーランゲージと音声で移行が出来るようになりつつあります。
馬の気持ちは、顔を触ろうとした時の動きに出ます。
今日は左の耳のまわりもかなり受け入れてくれました。
ありがとう。
どういたしまして、ぺろりん。
小さくあくび。
嬉しいです。
馬のボディーランゲージを読むのは思っているより難しくありません。
注意深い観察力と想像力。そして少しの洞察力です。
5月8日
今日は年の近い若馬と一緒に放牧して、仲良く元気に遊んでいました。
後ろをトコトコついてきます。ジョインアップできてますね。
無理強いせず誠実に接していることが信頼につながっているようです。可愛い。
目がこちらを見ていますね。馬のアイコンタクトに敏感になりましょう。
洗い場に入って止まった時に、このようにモグモグペロペロをするのは、その人を受け入れて信頼している証拠です。
とてもいいことですね。
受け入れとリラックスが安定して良いので、頃合いよしと見て腹帯の教育スタート。
ゴム入りの肢巻きを用意し、洗い場で匂いをかがせます。
回すときにも、その辺(ぶっ飛んで行っても踏まない距離)にぽいっと落としておきます。
一通り運動して受け入れを確認したら、ゆるく、でも外れたり後ろにずれたりしないような強さで結びます。
ちなみに今日は「ホゥー」と言ったら止まるのがほぼできるようになりました。
歩き出す時に、苦しいことに気が付いていきなり暴れ始める時があります。歩き始めは静かにそっと促しましょう。
これが受け入れて安心しているときの馬のボディーランゲージです。
今日は、汗こきが馬体全面にかけられるようになりました。
それから肢を全部拭けるようになりました。
あと、前肢の肢上げがスムーズになって、ちょっと裏掘りができるようになりました。
千里の道も一歩から、ですね。
5月9日
さぁ今日の元気はどうかな?
放牧しつつ、前日までの疲れが残っていないか等チェックします。
肢を触っても大丈夫なのを教えるときは、このように反対側の肢をすると安全です。
万一嫌がって蹴った時でも向こう側なら大丈夫ですよね。
大人の馬でも肢へのブラシかけはしっかり行うようにしましょう。
こういうところもブラシかけ出来るようになりました。
大人の馬でもこういうところを優しく丁寧にブラシかけしましょう。馬体はどこであっても清潔に。
何か新しいことをするときは、馬の鼻先にそーっと出して確認させてあげます。
匂いを嗅いだり、齧ったりして馬自身に確認してもらうようにすると、その後がスムーズです。
馬に必要なのは理解と納得です。
地面にポイッとして、一応もう一度確認させてみました。
すでに足蹴にしている(笑)
大丈夫みたいですね。
赤い肢巻きは昨日よりも少しきつめにしてみました。大丈夫なようです。
ゼッケンがひらひらするのを模して、タオルをつけてみました。平気でした。
馬が受け入れられるように、小さくから徐々に、ですね。
ゼッケンの匂いを嗅がせてから、背中へそっと置いてみました。
こういう目つきや首の上げ方は、警戒して緊張している馬語ですので、優しく声をかけて撫でたりしつつ、早めに取り下げます。
デレデレと可愛がりつつ全身を撫で、背中に重みをかけて馴らします。
隠れたテーマは背中の重みにあるのですが、それは意識せず、本気で誠実に可愛がります。
ただし嫌がった時のことも想像しておきます。
左手は馬を押して突き放せるようにこの位置、右のつま先は地面を前へ蹴って後ろへ離れられるように準備しています。
こういう瞳をしてくれたり、モグペロをしたら受け入れ始めたサインです。ありがとう。
信頼し始めたらどんどん進みますね。
でも慎重に繊細に、かつ大胆に進めますよ。
5月10日
リーディング(引馬)ほぼ完璧です。
表情もさらによくなりました。
もう馬房から洗い場や放牧場までずっとロープをたるませたまま一緒に歩いて行けます。
リーディングはすべての基本ですね。信頼して後ろからついてきてくれるととても嬉しいです!
ハミの学習をします。
指をきれいに洗い、美味しいエサをつけます。
口の周りをマッサージしながら、そっと口に指を入れさせてもらいます。
美味しい?
嫌がる前に取り下げます。
特に押さえていないのですが、すんなり受け入れてくれました。
「今日のタオルは大きいな~」そんな感じでゼッケンになりました。
首の下げ具合、モグペロ、リラックスして受け入れているようですね。
ゼッケンがずれないように肢巻きはきちんと腹帯通しに通してあります。
肢巻きもややきつめに縛ってあります。
心がけておくことは、馬が嫌がることや不安になることは絶対にしないことです。
鞍を確認してもらいます。匂いを嗅いだり、かじったりしてもらいましょう。
「馬に説明しているみたいでしたね」って言われましたがまさにその通りです。
いつも穏やかに話しかけています。
最初のうちは余計な刺激を与えないよう、鐙は外しておきます。忘れないようにしましょう。
今日は置くまで。
いい子でした。
物事は成功させて終えるようにします。
成功するという確信ができてから行い、成功しなさそうならやらない。
失敗するまでやると失敗になります。
欲張りすぎたり、引き際を誤らないように気を付けています。自信をつけてもらいたいですからね。
引馬をしてみてもらいました。二人ともうまくできました。
大切なのは人も馬もリラックスです。
馬は屈服させてはいけません。しぶしぶ従っているだけの馬、人に恨みを持った馬を作ってしまいます。
もう安心して後ろに立って手入れできるようになりました。
馬も安心しているようですね。
口や目や首を見ると、馬の緊張度合がわかります。
ありがとう。
今日もよかったよ。
5月11日
おはよう!
可愛いですね。
両耳や前髪も触らせてくれるようになりました。
おでこの傷もなくなってきれいになってきました。
たてがみすきもしましたよ。
はじめてお散歩に行きました。
可愛い子には旅をさせよよ、三つ子の魂百まで、鉄は熱いうちに打て、です。
馬は慣らすより学習させる方がいいと思います。
まずはいつも通り運動します。復習して出来る自分に自信をつけることと、余計な元気を解消しておくためです。
今日は鞍を乗せた後、腹帯をそーっと締めてみました。
腹帯を回すとき、足に当たってびっくりさせないように気をつけます。
締める時も、ゆっくりゆっくり理解を求めながらゴム側を一穴ずつ上げていきます。
歩き初めに注意しながらそっと歩かせ、理解とリラックスをしたところで速歩を促します。
この写真、少し緊張が見えますね。
尻尾の不安そうな動き。
頭を下げてひねっているのは鞍から遠ざかりたい気持ちの表れです。
納得できないとバッキングという行動をします。
背中のものを払い落とそうと、ロデオのように跳ね回るわけですね。(背中=バック)
もちろんそうはなりませんでしたよ。そうなってしまったら失敗です。
馬が理解して受け入れているという確信を持てるようになってから、次の新しい提案へ進みます。出来ないことは要求しない、ということをリーダーは厳守します。
はい、おつかれさま。
理性が本能を超えてきました。
自分の意思が尊重されることに気がついた→安心して受け入れてみてもいい、とわかったみたいですね。
身体の触れないところがなくなりました。
お尻の穴を拭いても大丈夫。今日は玉たまも触りました。
馬は説得と納得だと思います。
「わしらは水と風の方がええ。」by風の谷のナウシカ
真後ろに立っての尻尾ブラシかけも受け入れてくれます。
出会った最初に誓うわけです。
「あなたの話を聞きます。あなたを不安や苦痛から守ります。あなたに理不尽を押し付けません。あなたには自由があります」
そしてそれをしっかり守るわけです。これはたぶん私の望みでもあるんでしょうね。
5月12日
グランドワークを終えて背中を見せると、教えてなくてもトコトコと寄ってきます。萌えます。
これはこのボディーランゲージが馬にとって自然な馬語であることを示しています。そして馬に信頼されたこともね。
馬に重みを教えます。
本来は馬場で行います。
狭い所でやると馬とバーに挟まれてしまったり、下の堅い所だと転倒したとき危ないですからね。
声掛けと愛撫をしながら右足の力を徐々に抜いて重みをかけます。
大丈夫なうちにやめます。嫌がるまでやったら失敗ですよ。我慢や諦めを教えてはいけないと思います。
右足はいつでも右へ蹴って馬から離れられるように、気持ちと体勢の準備をしておきます。
はい、この口OK。
馬っていうのはこれだけいろいろなことを教えて初めて乗れるようになるんです。
大切にしてあげてほしいな。
台に乗って高さを教えます。
馬は狭い所が苦手です。逃げ場がないと感じるからでしょうね。
それから上からかぶさってくるものも苦手です。
敵はたいてい水平線上からくるので、上は盲点になりやすいからかな。
まだ人に乗られたことのない子馬は、水平の位置関係にはなれているのですが、人が高くなって上下の位置関係になるととビビる馬が多いのです。
足で愛撫します。肩や背中を優しく撫でます。
こうしてこの先跨ることにつなげていきます。
うぅ、足がつらい(苦笑)
2週間も経ってないのにここまで来ました!
来たときの様子からすると驚きです。
きっと大丈夫だという信念を持ち続けていましたが、内心あの時はどうなることかと思いました。えらいよありがとう。
ふふふ。
5月13日
前髪や耳へのタッチを素直に受け入れるようになりました。ありがとう。
でもなぜだか、鼻先へのタッチがそれとなくよけます。鼻づらは大丈夫なのにな。
鼻先はタッチしに行こうとせずに、匂いを嗅いでいいよと待つようにしています。
はい、確認確認。
かじろうとしてますね。大丈夫なようです。
少し左回り右回りでグランドワークをして、馬とのリンクを確認します。
これが良い体勢です。
運動的にもいい体勢。
精神的にもいい体勢。
受け入れているリラックスしたボディーランゲージです。
軽い内方姿勢。
トップラインの伸展。
これは良くないボディーランゲージです。
身体をよじって不安を訴えています。
尻尾が苛立たしげに動いています。
鞍を乗せて最初の2周くらいの間、少しだけこのサインが出ました。
洗い場で動いてほしいときは、軽く触るだけで横へ移動してくれるようになりました。
玉たまちゃんも全然平気で触らせてくれるようになりました。
今はこんな感じ。まだちっちゃいですね。
新馬調教2へ続きます。