昔々のある出来事。
馬術修行へ行っていた生徒が帰ってきました。彼が馬に乗るのを見て、まわりの先生たちも後輩たちも、みんながこぞって彼を褒めそやしました。
その馬を受け取って整理運動をすることになったのですが、歩かせてみて驚きました。その馬の中に何も残っていなかったのです!
むしろ馬の中にはイライラがあって、人への不信感がくすぶっていました。
彼は驚くほどコントロールが上手で、支配力で馬体を操っていたのです。すでに調教された馬に乗って使役するライダーとして優秀だと、こういうこともあるのだなと感心しました。
他人に自分の身体を操られてしまうって、どんな気持ちだろう?
いつもしている「馬に覚えてもらって馬の中に学習と達成感を重ねていくアプローチ」とはあまりに違いすぎて、今でも覚えている衝撃的な出来事でした。